2021年以降、システム障害が立て続けに発生したみずほフィナンシャルグループ。特集『総予測2023』の本稿では、混乱からの“再出発”を託された木原正裕社長に、23年に向けたみずほ復活の道筋や、みずほ証券を通した楽天証券への出資意図、今後の投資戦略などについて聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 新井美江子)
みずほのDNAを再認識し
復活への地盤固めを急ぐ
――2022年2月の社長就任以降、注力してきたことは何ですか。
企業風土改革です。さらなる成長に向けて事業を強化するためにも、世の中のサステナビリティ(持続可能性)やデジタル化を推進・高度化していくためにも、極めて重要なことだと考えています。
その一環として企業理念の再定義に着手しています。歴史をたどると、われわれのDNAには「日本の産業をしっかりつくっていく」という思いが組み込まれている。そのDNAを認識し直し、10~20年後に向けて何をしていくべきか、どういう存在になりたいのかというパーパス(目的、目標)としてあらためて設定したいです。
加えて、社員が自律的に行動し、その結果を公正に評価するための「かなで」という新たな人事制度への移行も進めています。
――企業風土改革と並行して事業ポートフォリオも見直しています。23年の課題は個人、中堅・中小企業向けビジネスを手掛けるリテール・事業法人カンパニー(RBC)でしょうか。22年4~9月期は純利益が赤字となりました。
2022年はみずほフィナンシャルグループにとって、システム障害による混乱から“再出発”するための重要な年だった。その22年に木原社長が注力してきたのが企業理念の再定義だ。それでは、23年に木原体制が重きを置く分野はどこになるのか。好調な米州事業の強化策や、みずほ証券を通して行った楽天証券への出資の狙いなどについて聞いた。