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【精神科医が教える】うつ病を抱える人に「頑張れ」は必ずしも禁句ではない…精神科医が断言するたった1つの理由Photo: Adobe Stock

うつ病の患者さんに
「頑張れ」は禁句なのか?

教科書的にいうと、うつ病の患っている人に「頑張れ」は禁句だとされます。でも、ちょっと疑問に思うんです。

言葉というのは、相手との関係性や背景、そして誰がどういうタイミングで、どういうニュアンスで伝えるかによっても、意味合いがまったく違ってきます。

「頑張れ」と声かけしてはいけないと、ひと括りにしてしまうと、逆に危険とさえ言えるのです。

言葉尻だけで判断するのは
ちょっとナンセンス

問題なのは、声かけする側の心や態度なんですね。シンプルに言うと、相手のことをいかに思っているか

その思いが独りよがりの一方通行のまま「頑張れ」というのでは、たしかに問題はあるのですが、そうではないケースもあるわけです。

だから、「頑張れ」という声かけが100%禁句とは、精神科医として言いません。言葉尻だけをとらえて、良いとか悪いとか縛りを設けるのは、ちょっとナンセンスだとさえいえるからです。

「頑張らなくていいんだよ」
がいいわけでもない

仕事を頑張りすぎてうつ病を発症した人に対して、さらに「頑張れ」というのはです。

患者さんがうつ病に至る背景や考え方を知ることは大前提ですが、だからといってすべての患者さんに「頑張れ」と言ってはいけないわけではないのです。

逆に「頑張らなくていいんだよ」と声がけしたほうがいいのか、という話もあるのですが、これまで頑張ってきた人がうつ病を発症して、その人に良かれと思って「もう頑張らなくていいんだよ」と声かけすると、場合によっては「自分はもう存在価値がないんだ」というふうに受けとられて、逆効果になることもあります。

相手の立場になって
考えるということ

そういうケースバイケースのリスクをはらんでいるので、「この言葉はNG」「この言葉はOK」という言葉尻をとらえるのは、誤解を招く恐れがあるんですね。

より大切なのは、相手の立場になって考えるということ。相手の背景や現状、考えていることを慮ることのほうが大事なのです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。