誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。Voicy「精神科医Tomyきょうのひとこと」の“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
うつ病の患者さんに
「頑張れ」は禁句なのか?
教科書的にいうと、うつ病の患っている人に「頑張れ」は禁句だとされます。でも、ちょっと疑問に思うんです。
言葉というのは、相手との関係性や背景、そして誰がどういうタイミングで、どういうニュアンスで伝えるかによっても、意味合いがまったく違ってきます。
「頑張れ」と声かけしてはいけないと、ひと括りにしてしまうと、逆に危険とさえ言えるのです。
言葉尻だけで判断するのは
ちょっとナンセンス
問題なのは、声かけする側の心や態度なんですね。シンプルに言うと、相手のことをいかに思っているか。
その思いが独りよがりの一方通行のまま「頑張れ」というのでは、たしかに問題はあるのですが、そうではないケースもあるわけです。
だから、「頑張れ」という声かけが100%禁句とは、精神科医として言いません。言葉尻だけをとらえて、良いとか悪いとか縛りを設けるのは、ちょっとナンセンスだとさえいえるからです。
「頑張らなくていいんだよ」
がいいわけでもない
仕事を頑張りすぎてうつ病を発症した人に対して、さらに「頑張れ」というのは酷です。
患者さんがうつ病に至る背景や考え方を知ることは大前提ですが、だからといってすべての患者さんに「頑張れ」と言ってはいけないわけではないのです。
逆に「頑張らなくていいんだよ」と声がけしたほうがいいのか、という話もあるのですが、これまで頑張ってきた人がうつ病を発症して、その人に良かれと思って「もう頑張らなくていいんだよ」と声かけすると、場合によっては「自分はもう存在価値がないんだ」というふうに受けとられて、逆効果になることもあります。
相手の立場になって
考えるということ
そういうケースバイケースのリスクをはらんでいるので、「この言葉はNG」「この言葉はOK」という言葉尻をとらえるのは、誤解を招く恐れがあるんですね。
より大切なのは、相手の立場になって考えるということ。相手の背景や現状、考えていることを慮ることのほうが大事なのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。