無理にメンバーを増やしても
意味がない
カスケード式トレーニングは、なかなかメンバーが増えないと言う。
「カスケード式トレーニングは、毎回、技術ドキュメントを読んで予習して臨まなければいけません。自助努力が大事です。無理にメンバーを増やしても、本業が忙しいこともあり、残念ながら途中で脱落する人も中にはいます。」(横山氏)
横山氏と同じく運営メンバーの吉田智哉氏は、自分の部署のメンバーにもカスケード式トレーニングを広めようとしたときのことを振り返る。
「私の部署では、資格取得もKPIの一つとなっています。カスケード式トレーニングを利用して、資格取得とスキルアップが実現できれば一石二鳥だと思い、全員にダイレクトメールを送って20人に参加してもらったのですが、最後まで残った方は多くはありませんでした」(吉田氏)
つまり、外発的動機でカスケード式トレーニングに参加させるのは、難しいということだ。メンバーを増やすなら、内発的動機づけに寄与する仕掛けが必要だ。しかし、青柳氏をはじめ運営メンバーは、「残れる人は残る」「学びたいという意欲が強い人が残ってくれれば問題ない」と、ポジティブに捉えているようである。
「そもそも、『誰かに教えてもらわないとできない』という人は、一流のコンサルタントやエンジニアにはなれないと思っています。自分でサクサク勉強を終わらせて、学んだことを人に教えようと思うくらいの人でないと成長は難しく、そういう人こそ残ってもらいたいと思っています」(青柳氏)
コミュニティの目的によっては、無理に参加者を増やして盛り上げようとしたり、メンバーを無理やり引き止めたりすることが、かえってコアな参加者の向上心や満足度を下げることになってしまうのかもしれない。
とはいえ、カスケード式トレーニングは大きな成果を上げていて、300人を超える参加者多くが資格を取得している。
楽しく学ぶ
コミュニティも新設
お察しの通り、カスケード式トレーニングは、合う人と、合わない人がいる。運営メンバーの秋元良太氏は、カスケード式トレーニングの経験者を中心に、新たなコミュニティを立ち上げた。
「カスケード式トレーニングは楽しむことが目的ではありません。でも僕は、これをきっかけに面白い人がつながっていく、そういう意味でのカスケードにもすごく興味があります。新しいコミュニティは見切り発車ではありますが、モチベーションの高い人がゆるくつながっていて、毎回とても良い雰囲気です」(秋元氏)