仕組み化で、
コミュニティリーダーの後継者問題を解消
多くのコミュニティで湧き上がっているコミュニティリーダーの後継者問題。企業の事業承継に少し似ていて、大きな成果を上げた初代が率いてきたコミュニティほど深刻だ。カスケード式トレーニングの場合はどうだろう。青柳氏は涼しい顔で言う。「カスケード式トレーニングの経験がある人なら誰でも引き継げると思いますよ。仕組み化していますから」。
「僕は、マイクロソフト時代に開発部門でアジャイル開発をしていたのですが、何でもかんでもすべてドキュメント化していました。各ロールの細かい仕事の内容をナラティブに、果たすべき役割をつぶさに書いています。プロジェクトログを残すのは、プロジェクト管理の基本中の基本です。コミュニティもそうです。だから、引き継ぎが容易なのです」
青柳氏の習慣は、“究極のGive”と言えるかもしれない。「引き継ぎを容易にするのは、コミュニティリーダーの最低限の責務」。そう厳しく諭されている気がする。
コミュニティのゴールは、
育成制度がなくても成長できるようになること
青柳氏にとってのコミュニティのゴールは、カスケード式トレーニングのような育成制度がなくなることだ。育成制度がなくても、一人ひとりが自律的に成長できるようになるのが一番だという。
そのためのマイルストーンの一つが、カスケード式トレーニングをさらに尖らせることだと言う。
「ずっと資格取得やスキルアップを目的にしていては発展しないと思います。次は、クラウドガイドラインを作ったり、すぐに展開できるテンプレートを作ったり、ソリューション開発を行ったりと、実務に直結する活動に手を伸ばしていきたいです。これは、自分のためでもありますが、みんなのためでもあります。エンジニアは仕事を楽にするのが仕事ですから」(青柳氏)