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グーグルの高価な新ノートPC
「クロームブック・ピクセル」は成功するか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第234回】 2013年2月27日
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 確かに、ハードウェアのつくりとしてクロームブック・ピクセルはかなり凝っている。スマートなアルミ製で、シャープなデザインの中にもさまざまな細かな心遣いが込められている。タッチ対応でサイズが13インチ弱のスクリーンには、これまでのラップトップにない400万ピクセルが盛り込まれて、最高の解像度を誇っている。キーボードもかなり使いやすいという評価だ。

 だが、これをたとえばアップルの11インチ型MacBook Air(マックブックエア)と比べると、欠点が目立つ。オフラインでの作業が十分にできないことに加え、重いこと、大きいこと、そして高いこと。マックブックエアの価格は999ドル(64GB)と、1000ドルを切っている。スタイリッシュでハイエンドなアップル製品ですら、この値段。それに、マックブックエアもブラウザを立ち上げさえすれば、ネットブックと同じように使えることを考えると、クロームブック・ピクセルの価格の高さはどうにも説得力がないのだ。

 クロームブック・ピクセルが、スクリーンの解像度の高さだけでこれだけの価格を要求する理由は何か。ひょっとすると、これは単にビデオ好きかゲーマーに向けただけの製品なのではないかと見られても当然だろう。確固としたユーザー像がつかみにくい上、ラップトップがタブレットにどんどん置き換えられている今、高性能、高価格のラップトップを発売する意味が見えないのだ。

高価なハードウェア製品も揃えて
グーグルストアを開店?

 だが、ここで敢えてグーグルの意図を推測してみよう。そうすると、いくつかの可能性も見えてくる。

 ひとつは、グーグルがハードウェア製品を充実させて、アップルやマイクロソフトと互角に闘おうとしているのではないかということだ。

 現在、企業にとってもユーザーにとっても、ハードウェア、ソフトウェア、ネット上のサービスを総合したプラットフォームのどこで勝敗が決まるのか、それはかなり流動的な状態にある。これまでならば、ハードウェアの性能だけ、あるいはOSやソフトウェアの質で、どの製品やメーカーに肩入れするかが決められたが、今や事はそれほど単純ではないのだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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