「東スポからあげ」も販売で
食品事業を加速

 それにしても「東スポ餃子」プロジェクトも進行する中、なぜ、突然、「東スポからあげ」の販売にも手を広げたのか? 実は「東スポ餃子」が各方面にいい意味で多大なる影響力を発揮していたからだという。平鍋氏は語る。

「驚いたのは『東スポ餃子』を出してから、これまで付き合いのなかった会社からいろいろな提案を受けたのです。違った業界に東スポブランドが浸透したということです。中でも一番多かったのが食品事業会社です。その中でJAから声をかけていただいて、鶏肉を直接、仕入れることができるようになりました。もちろん餃子で協業している戸田商事が東スポの後ろに控えているから、信用を得られたということは大きいですね。その流れで鶏肉といえば唐揚げだ……と。また、戸田商事と一緒に味の開発をしていきました。

 もちろん、完成した味には自信がありましたが、餃子に次ぐ第2弾というよりさらにインパクトを強くするために、『からあげグランプリ』に出品して、受賞を狙ったんです。話題作りだけでなく、本当においしいんだってことを世間に知ってもらいたかった。そこで見事に金賞を受賞できた。今回は、それを販促に使うことができたわけです。

 ただし、『東スポからあげ』の販売方法はかなり難しいですね。餃子の場合はフライパンの上でも焼けるから家庭でも作れます。しかし、唐揚げは片栗粉にまぶしてから、揚げなければなりません。だからひと手間がかかるわけです。家庭用にレンチンするタイプで販売することも検討しましたが、レンチンタイプの唐揚げは他にもたくさんあるので、販売しても競争に負けてしまう。

 また、家庭用のレンチンタイプは、どうしても油っぽくて綺麗に揚げることが難しいのです。その結果、味が落ちます。餃子もレンチンタイプの味は落ちますが、落ち方の落差が唐揚げほどではないんです。売り場もまだまだ確保されていないので他の大手の商品の中に埋もれてしまう危険性があった。でも味には絶対の自信があったのです。

 そこで、まず手始めに『東スポからあげ』を業務用だけで販売し、餃子と同じようにある程度名前が知られるようになってから家庭用にレンチンタイプを出していこうと戦略を変えました。ですから『東スポからあげ』の方は、浸透するまでにもう少し時間がかかると思います。あと半年もしたらかなりの数が市場に出回ると思います。