英語で「花嫁・パン・出汁」のつづりはなぜ似てる?語源で学ぶ“文化と教養”「花嫁」のbride、「パン」のbread、「出汁」のbrothはどれも印欧祖語が元になっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナ5類移行後、初の夏休みを迎え、ヨーロッパ旅行が人気。そんななか、「英単語の語源に着目すると、ヨーロッパ観光が数倍楽しく、英語の語彙力が数倍高まります」と話すのは、ベストセラー『英単語の語源図鑑』著者の清水建二氏。そこで氏の新刊『英語は「語源×世界史」を知ると面白い』(青春出版社)から、目からウロコの英語の「なるほど」知識を抜粋紹介します。

「花嫁」の仕事が「パン」を焼くことから生まれたbrideとbread

「英語」の祖先にあたるインド・ヨーロッパ語族に属する国々では古代、花嫁の仕事は、ミードと呼ばれるはちみつ酒を作るほかに、パンを焼くことと出汁を作ることであった。

「花嫁」のbride、「パン」のbread、「出汁」のbrothはどれも印欧祖語(インド・ヨーロッパ祖語)のbhreu(泡立つ、グツグツ煮る、焼く)が基になっている。

 broil(グリルの直火で焼く)、brew(醸造する)、breed(繁殖させる)、brood(卵を抱く)、braise(蒸煮する)、bribe(賄賂)などはゲルマン語経由で英語に入ってきた単語である。

 このうち、bribeは物乞いにパンの小片を与えることが原義で、のちに役人に贈る「賄賂」の意味に変化したものであるという説があるが、一方でパンをちぎる行為のbreakに由来するという説も興味深い。