saltはゲルマン祖語由来の単語であるが、salad(サラダ)、salami(サラミ)、sauce(ソース)、sausage(ソーセージ)、salsa(サルサ=主にチリソース)などラテン語由来の単語と印欧祖語のsal(塩)でつながっている。

「給料の」のsalary(サラリー)もラテン語由来で、かつてローマの兵士たちが給料の代わりに塩をもらっていたからだと言われるが、これを立証する文献は残されていない。

 この時代にはすでに金貨や銀貨などの貨幣が使用されているので、おそらく、塩を買うために与えられた賃金に由来する語と考えるのが妥当であろう。

ハロウィーンの起源

 ケルトの風習で日本にも馴染み深い行事がある。10月31日の「ハロウィーン(Halloween)」の起源は、ケルト人が秋の収穫を祝っていた「サウィン祭(Samhain)」にあり、語源はゲール語で「夏の終わり(summer's end)」。古代ケルト暦では10月31日は一年の終わりの日、つまり大晦日のことで、この日に祖先の霊が家族に会いに戻ってくると信じられていた。

 祖先の霊と共に、悪霊もやってくると考えられており、その悪霊に自分が人間であることを悟られないように、火を焚いたり、仮装をして身を守ったと言われる。

 中世のカトリックでは11月1日を「諸聖人の日=All Saints' Day(万聖節)」として祝っていたが、この両日が結び付けられて、Halloweenの習慣となっていった。

 アメリカでは、宗教的な色彩が薄れて、魔女やゾンビなどに仮装した子供たちが“Trick or Treat”と声を掛けながら近所の家々を回り、大人たちは“Happy Halloween”や“Treat”と呼応しながらチョコレートやキャンディーなどのお菓子をあげるのが習わしとなっている。

 Trickは「いたずら」「悪ふざけ」、Treatは「ご馳走」「もてなし」の意味。その起源は古代ケルトの「ソウリング(souling)」という死者の霊を弔うための儀式にあると言われる。

 中世イングランドでは、地獄と天国の間にある煉獄で苦しんでいる祖先の魂に祈りを捧げるために家々を訪れた貧しい人たちや子供たちに「ソウルケーキ(soul cake)」と呼ばれる菓子が配られていた習慣に由来するとも言われる。

 Halloweenは、All Hallow's Evenが語源で、「All(全ての)+Hallow(聖人)+Even(前夜)」のこと。hallow(聖人)と同語源の語に、health(健康)、healthy(健康な)、heal(治る、癒す)、holy(神聖な)、holiday(祝日)などがある。