患者にとってお得な仕組みが
反対に病院を疲弊させている

 初診料や再診料は、なぜ、こうした仕組みになっているのだろうか。これまでの経緯を振り返ってみよう。

 20年ほど前までは、病院で複数の診療科を受診すると、同一日でもそれぞれに初診料や再診料がかかっていた。しかし、医療費が増えると、患者だけではなく、国の負担も増加する。そこで、国は1992年に国民医療費削減の一環として、複数の診療科を受診しても病院は2科目以降の初診料や再診料がとれないように変更されたのだ。

 だが、医療の現場では技術の進歩とともに診療内容はどんどん複雑になってきている。病院内にはそれぞれの病気の専門医が配置され、新しい診療科も作られるようになった。それに伴い、ひとりの患者が複数の診療科を受診する機会も増えたが、病院の報酬は相変わらず評価されない時代が長く続いた。

 この間、診療報酬は自民党政権下でどんどん引き下げられ、自治体病院の廃業、医師不足といった状況を招くようになる。そこで、初診料が見直されることになり、2006年に患者が1日に複数の診療科を受診した場合は、2科目の初診料は半額だけ請求できるように変更された。

 その後も病院に勤務する医師の過重労働は続いており、そうした負担に配慮するため、2012年には再診料も2科目のみ半額を請求できるようになった。しかし、今でも3科目以降は、初診料、再診料・外来診療料を請求することはできないままだ。

 国が医療にお金をかける政策をとっていれば、初診料や再診料をケチることはないのかもしれない。だが、現状ではあらかじめ決められた予算を、それぞれの診療科が取り合う形で医療費の単価が決まっていくので、初診料や再診料ばかり引き上げるわけにはいかない。その結果、病院側からすると収入が減ってしまう困った仕組みになっているというわけだ。

 だからといって、患者が希望しているのに、2科目の受診をさせないというのは行き過ぎだろう。