塩野義製薬まさかのリストラ、過去最高益なのになぜ踏み切った?リストラ発表直前の7月3日にはアクセンチュアとの合弁会社を発足させた塩野義製薬。人事・管理部門の効率化が狙いだ

塩野義よおまえもか──。製薬業界でリストラの嵐が止まらない。過去最高益を上げ、目下の経営課題だったパテントクリフ(特許の崖)も乗り越える見込みが立った今、なぜリストラに踏み切ったのか。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

ノーマークだった塩野義のリストラ

「かなり強靱なバランスシート(貸借対照表)で、この3年間で総資産も増やし、キャッシュポジション(手元流動性)も非常に強くなった」

 国内製薬大手、塩野義製薬の手代木功社長は、6月の中期経営計画説明会の冒頭で自社の財務に強い自信をのぞかせた。それだけに、7月10日に発表した特別早期退職プログラムの実施は製薬業界全体を驚かせた。

 対象は、一部幹部職員を除く、50歳以上を中心とした約200人で、単体社員数の約8%に相当する。同社におけるリストラは、医薬品に経営資源を集中した2003年が最後で、実に20年ぶりとなる。

 いまや日本の製薬業界は、リストラの話題に事欠かない。外資系企業のみならず、国内最大手の武田薬品工業は直近5年間、明らかになっているだけでも3度の人員削減を行っている。「次はいつ、どこがリストラをするか」──。それが業界での目下最大の関心事だ。それでも「塩野義はノーマークだった」と業界関係者は言う。