65年ぶりとなる相続と生前贈与のルール改正で、生前贈与を使った従来の相続税の節税術は大幅に制限されることになった。いったい相続税はどのくらい増税されることになるのか。特集『やってはいけない!相続&生前贈与』(全16回)の#5では、生前贈与の実態をまとめた財務省の資料から、増税の影響額を独自に試算した。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
生前贈与で得している?
標的は資産3億円超の富裕層
生前贈与のルール改正で標的にされたのは、資産3億円超の富裕層――。
相続税の専門家の間では、今回の改正が損になるかどうかのボーダーラインの目安は資産3億円だという見方がもっぱらだ。その根拠の一つが、相続税・贈与税のルール改正を議論した専門家会合に、財務省が提出した資料である。
相続税と贈与税の負担率を比較したグラフ(上図参照)で、資産が3億円超の富裕層は贈与税の負担率の方が低く、「生前贈与で得している」と訴える内容だ。
それでは、改正でどの程度、相続税の負担が増えるのか。次ページでは、生前贈与の実態をまとめた財務省の資料から、増税の影響額を独自に試算した。