コンサルを辞める?続ける?迷っている人が知るべき「その後のキャリア」Photo:PIXTA

コンサルタントはキャリアを重ねて昇進すると、求められる役割・責任が「職業が変わる」といえるほど激変することがある。こうした昇進は飛躍のチャンスであると同時に、転職を考える人材が増えるタイミングでもある。では、実際に転職を試みたコンサルは、その後どのような道を歩むのか。また、コンサルを続けた場合はどうなるのか。自身もコンサル出身であり、コンサル業界の転職事情・キャリア形成に詳しいヘッドハンターの奥井亮氏が解説する。

コンサルタントは
職業が2回変わる

 活躍していたコンサルタントが、職位が上がった途端に評価が悪くなる、ということがコンサル業界では珍しくありません。

 なぜなら、コンサルタントには「職業が変わる」ようなレベルで仕事内容が変化するタイミングがあるためです。

 変化するのは仕事内容ばかりではありません。このタイミングでコンサルタントを続けるか否かによって、その後のキャリアも大きく変わります。
 
 そのため、このタイミングで自分自身のキャリアを改めて考えることが非常に重要です。

 多くのファームではコンサルタントの職位を、アナリスト/アソシエイト、コンサルタント、シニアコンサルタント、マネージャー、シニアマネージャー/ディレクター、パートナーという順で設定しています(後ろに進むほど上位)。

 このようにプロモーション(昇進)していく中で「職業が変わる」タイミングが2回あります。

脱「優秀なビジネスマン」

 1度目の「職業が変わる」タイミングは、シニアコンサルタントからマネージャーに上がるタイミングです。新卒でコンサルティングファームに入社した場合は、早ければ20代のうちに訪れます。

 シニアコンサルタントまでの職位では、職位によって担当範囲が変わるものの、一つのプロジェクトにおいて実務を担当します。

 その中で求められることは、仕事のスピードや先回り力、資料作成やプレゼンテーションのスキルなど、与えられた仕事をクオリティー高くスピーディーにこなす「優秀なビジネスマン」としての能力です。

 それに対してマネージャーは、プロジェクトの推進、継続、拡大、横展開を担当します。担当プロジェクトを推進しつつ、次につなげるためにクライアントの社内の動きを把握し、懐に入り込んでいく必要があります。

 つまり、「優秀なサラリーマン」としての能力に加えて、クライアントに信頼されるための人としての価値を持った、いわば「トップセールスマン」としての能力が求められます。

 具体的には、クライアント内の意思決定者は誰なのか、誰がキーパーソンなのか、各部門同士の関係性はどうか。また、相手がどのようなテーマに興味を持ち、どのようなKPIを負っているのか。こういった部分も把握し、企業に食い込んでいく力です。

 キャリアについても、シニアコンサルタントからマネージャーにプロモーションするタイミングでコンサルティング業界に残るか否かによって大きく変わります。