「要介護者の入浴サービスは介護する側の負担も大きい。個室に入って座るだけの低温サウナ浴であれば、通常の入浴より介護負担は少なくて済みます。血行改善だけでなく、心肺機能の向上も期待でき、体も動きやすくなるので、寝たきりや要介護の進行を防ぐ効果も期待され、低温サウナ浴は介護する側も受ける側もプラスの要素が多いと思います」(同)
今後の課題は全国にまだ設置の少ない低温サウナ設備の普及だ。高齢者施設への導入だけでなく、一般的な健康ランドなどにも低温サウナを設置して、シニアも若者もカラオケや食事とともにレジャー感覚で楽しみながら、誰もがいつのまにか健康になれる幸せな街が増えていくことが杉江医師の夢だという。
「低温サウナ浴で健康寿命を延ばし、サウナを介してコミュニケーションも増える。そうしていくつになっても好きな街に暮らしながら、お互いに声をかけ合い、支え合うことができる“健幸”な街を描けたらいいですよね」(同)
(取材・文/石川美香子)
おおやま健幸の街クリニック院長。2002年、埼玉医科大学病院心臓外科。10年、東京都老人医療センター(現・地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)循環器内科。11年、12年、経済産業省「医療介護周辺サービス創出調査事業」に参画し、同センターにて高齢者健康増進センターを設立。運動によるフレイル高齢者への健康寿命延伸効果や遠赤外線低温乾式サウナによるフレイル高齢者への健康寿命延伸効果を調査。研究論文には「フレイルと心機能」や「認知機能と心機能」などがある。2022年おおやま健幸の街クリニック開院。
※AERA dot.より転載