義肢は通常、切断された手足の残った部分にソケットで圧迫して固定されるものが多い。しかし、それによって不快感がもたらされ、機械的に安定しない場合がある。その代替法が、今回の研究でも用いられた、チタン製のインプラントを残っている骨に結合させる方法だ。研究グループは、このような骨への接続方法によって、より快適で効率的な義手と身体の機械的結合を実現させることができると述べている。

「患者に明るい未来を」
画期的な技術とは

 チャルマース工科大学生体工学教授で、生体工学・疼痛研究所(CBPR)(いずれもスウェーデン)の設立者であり所長でもあるMax Ortiz-Catalan氏は、「われわれは、神経を異なる筋肉に分布させて配線し直すことが可能であるだけでなく、それによって義手のコントロールが向上することを明らかにした」と説明する。

 Ortiz-Catalan氏はさらに、「われわれの取り組みの大きな特色の一つは、改良された手術手法を臨床の現場で実践することで、手術中に神経・筋構造にセンサーを埋め込み、その後、オッセオインテグレーション(チタンと骨が結合する現象のこと)によりつながったインターフェースを介して、義手の電子システムに接続することができる可能性を秘めているという点だ。残った部分はAIのアルゴリズムが引き受けることになる」と言う。

 手術はサールグレンスカ大学病院(スウェーデン)のPaolo Sassu氏が執刀した。同氏は以前、スカンジナビアで初となる手の移植手術を行った医師としても知られている。現在はリッツォーリ整形外科研究所(イタリア)に所属するSassu氏は、「われわれはCBPRの生体工学の技術者たちとともに、素晴らしい道のりをたどってきた。それによって新たな超微細手術の手法と、義手の1本1本の指のコントロールと感覚のフィードバックを得ることのできる、洗練された埋め込み型電極を組み合わせることができた」と話す。

 その上で、「腕の切断に苦しめられている患者たちにとって、未来はより明るいものとなるかもしれない」と話している。(HealthDay News 2023年7月12日)

https://consumer.healthday.com/bionic-hand-2662261157.html

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