もしそれでも「自力で」とこだわるのは、人類のこれまでの営みに対する礼を欠いたことのように、私には思えます。

 どんなことでも、まずは一般的な方法から学んでみましょう。

 一般的な方法とは、淘汰されずに残った「王道」の勉強法です。

 たとえば、TOEIC学習にも、「王道」とされる書籍や問題集があります。

 こうしたものが市場で淘汰されずに残っているのは、それが多くの人から認められ、実際に使った人に効果があったからです。

 もしかすると「そんなのはただ要領よくやっているだけだ」「オリジナリティがあることに意味があるんだ」と思う人もいるかもしれません。

 確かに、「王道」に沿って、それを追従しているだけでは不十分なこともあります。

 しかし、先人たちが作り上げた「王道」をまずは受け取り、自分でいろいろ試していく中で、受け入れるべき部分や、自分にはフィットしなくて採用しにくい部分に、初めて気づくはずです。

 最初は誰かのマネをする。だんだん自然にできるようになってきてから、自分なりのアレンジを加える。それが最も質が高く、ラクな方法です。

 もともとの「王道」のエッセンスが血肉になった上で、微調整する。ラクをしたいならまずマネをすることから始めるべきです。

結果を追い求めるなら、オリジナルな勉強法はいらない

 英語の業界でも、「ぼくが考えたさいきょうの勉強法」のようなものが多すぎます。

 とくに、SNSの普及も相まって、「俺が英語をできるようになった方法」とか「私なりのメソッド」みたいなものが氾濫していて、いろんな人がいろんなところで、持論を展開しまくっています。

 挙句の果てには、科学的に非効率とされている勉強法でさえ、「これで成績が伸びた!」とサンプル数の少ない意見を宣伝するような人も出てきています。

 そもそも、時間と気合でゴリ押しした勉強をして、成果を上げた人にとっては、どんなに非効率な勉強法でも「ぼくが考えたさいきょうの勉強法」になってしまいます。