定年前後の決断で、人生の手取りは2000万円以上変わる! マネージャーナリストでもある税理士の板倉京氏が著し、「わかりやすい」「本当に得をした!」と大人気になった書籍が、2024年の制度改正に合わせ改訂&パワーアップ!「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」として発売されます。本連載では、本書から抜粋して、定年前後に陥りがちな「落とし穴」や知っているだけでトクするポイントを紹介していきます。

要注意! 子へのマンション資金贈与でハマりがちな落とし穴Photo: Adobe Stock

息子が家を建てる時にお金を出したら……

「息子が家を建てるのでお金を出したら、税務署から贈与税を払うようにと連絡が来たんです。税理士さんのセミナーで、子どもや孫が家を買う時には1000万円までは贈与税がかからないと聞いたのに……」。こんな相談を受けたことがあります。

 確かに、その制度を使えば無税で最大1000万円まで贈与できるので相続対策に有効です。でもこの制度を使うためには資金をもらった息子さんが期限内に贈与税の申告をする必要があるのですが、その申告はしていなかった(注:非課税になる金額は時期等により異なります)。

「セミナーではそんなこと言ってなかった……」と。

うろ覚えの知識で対策してはいけない

 このように、うろ覚えの知識で行う相続対策はとても危険です。
 最近は、様々な媒体で、相続や贈与についての情報が出回っていますが、限られた尺(時間や紙面)の中でトピックスを提供しているに過ぎません。にもかかわらず、それを聞きかじり、しっかり調べずに自分に都合のいいように取り入れると、失敗する可能性も大です。

 残念ながらこの息子さんは期限内に贈与税の申告をしていなかったので、177万円もの贈与税+ペナルティを負担することになります。なんとも不幸な話ですよね。

 ちなみに、どんな特例があるかを知っているのと知らないのとでは払う税金が全く違います。でも、税務署は税金が安くなる制度について「あなたの場合、この特例を使うと有利です。そのために必要な手続きはこれです」などと向こうから親切に教えてくれることはまずありません。

 だからこそ、税金はしっかりとした知識を持って臨むべきであり、分からない時は専門家に相談すべきなのです。

*本記事は「知らないと大損する!定年前後のお金の正解 改訂版」から、抜粋・編集したものです。