相続と生前贈与の65年ぶりのルール改正で、相続税対策が激変する。とりわけ「毎年110万円」贈与するという“王道”だった対策の最適解が一変しそうだ。新ルールではどんな生前贈与を使った節税術が最適なのか。特集『やってはいけない!相続&生前贈与』(全16回)の#1では、2023年度の税制改正大綱で決まった新ルールの四つのポイントと、そのインパクトを見て行こう。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
65年ぶり相続と贈与の大改正
生前贈与の節税術に政府がメス
「アメとムチが用意された」――。
65年ぶりに変わる相続と生前贈与の新ルールについて、相続を専門とする税理士はそう評する。
相続税は相続財産が増えれば増えるほど税率が上がっていく超累進課税を採用している。そのため、相続税の節税の基本は、相続財産を減らすことだ。そして、生前贈与は“最強”の相続対策として広く利用されてきた。
2023年度の税制改正大綱はそこにメスを入れ、「資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築」を掲げた。資産移転の時期の選択とは、相続よりも前に贈与で子供に財産を渡すことだ。つまり、「生前贈与を活用した節税は是正する」という意味だ。
新ルールの開始は24年1月1日からだ。ルール変更の内容を知らないまま、うかつに相続税対策に走ると損をしてしまうこともある。
次ページでは、相続&生前贈与65年ぶり大改正のポイントと、毎年110万円贈与の節税術の大変化について解説する。