「買いたいけれど、まだ買えていない人が多い」時こそ株価が上がるのだ。つまり、市場に買いたいパワーが潜在的に充満している時である。では、いつがそんな時なのかというと、前述したように「株はもうバブルだ」と言う人が多い時なのだ。

 もし本当にバブルだと思っているなら空売りするなり、インバースETF(原指標の変動とは逆の値動きをする指標に連動するように設定された投資信託)に投資をすればいいのだが、得てしてそういうことはやらない。

 つまり本音は「買いたいけれど出遅れてしまった。何とか下がらないだろうか…いや、きっと下がるに違いない」という心理が、そういう発言になっているだけだ。

 これは個人投資家に限らず、機関投資家でもそういう発言をする場合がある。結局、誰も「そのうち株は下がるよ」と言わなくなった時が、皮肉なことに天井なのである。

 逆の場合も同じこと。いったん、相場が崩れ始めると売りそびれた人から「状況から見て今の相場はどう考えても下げ過ぎだからそのうち戻るよ」という発言が多く出てくるようになる。そういううちは、まだまだ下がる可能性が高い。

 それまで楽観的に見ていた人が最後、恐怖に駆られて投げ売りをしてしまうと、そこからだいたい株は上昇を始める。したがって、これらの人たちの発言を指標にしておくのは一つの知恵である。