1位の佐賀県では
6割以上が甲子園に出場

 全国一出場率が高いのは、佐賀県である。参加36校に対して出場校は今夏初出場を果たした鳥栖工を含めて22校もあり、実に61.1%と出場率は6割を超えている。今年の県大会決勝も鳥栖工-神埼清明高という甲子園経験のない公立高校同士の対戦だった。神埼清明高は2年連続の準優勝で、出場校はまだ増えそうだ。

 次いで多いのが宮崎県。46校の参加校に対して、今年初出場を決めた宮崎学園高は27校目。出場率は58.7%でこちらも6割に迫っている。

 宮崎県は1954年まで春夏通じて一度も甲子園に出場したことがなく、全国で最も遅く初出場を果たした県である。つまり、戦前は強かったが今はさっぱりという学校があるわけではなく、初出場以来69年間に27校が次々と甲子園初出場を果たしてきたことになる。同県ではどの高校にも甲子園出場のチャンスがあるといっても過言ではない。

 3位は島根県で出場率は57.9%。参加校は38校と人口規模を考えると意外と多い。これは、学校の統廃合を防ぐために公立高校が積極的に県外中学生を受け入れているからだ。同県では県立高校の選手にも県外出身者は珍しくない。

 続いて4位は57.4%の山口県。参加校は54校と比較的多く、うち31校もの学校が甲子園に出場している。かつては下関商、その後は宇部商の強い時期が続いたが、現在は戦国時代。次々と新しい学校が登場してくる。167校参加する神奈川県が19校しか甲子園に出場していないことを考えると、31校という山口県の出場校の多さがわかる。

 5位は全国で最も参加校が少ない鳥取県。今年は昨年より1校増えて23校となったため出場率は56.5%に下がり、順位も昨年のトップから5位に後退した。鳥取県では、選抜大会の選考資料となる秋季中国大会には23校中3校が進出、地元開催の年には4位校まで出場できるなど、甲子園には出場しやすい状況となっていることも大きい。

 6位は和歌山県の55.6%。古くは和歌山中(現在の桐蔭高)、戦後は箕島高、現在は智弁和歌山高が出場を独占しているようにみえるが、昨年春には和歌山東高が初出場するなど、選抜にはいろいろな学校が出場している。

 5割を超すこの6県では、むしろ甲子園出場経験のない学校の方が少ない。

 なお、『甲子園出場歴のある高校の割合が高い都道府県ランキング2023【全47都道府県・完全版】』では47都道府県全ての順位を発表している。さらに、甲子園出場歴がある高校が最も少ない神奈川県が、「甲子園出場激戦区」といえる理由も解説している。こちらもぜひ、ご覧いただきたい。

(野球史研究家 森岡 浩)

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