2019年に池袋で当時87歳のドライバーが起こした事故など、高齢者ドライバーによる交通事故に関する関心は高い。もし自分の親や祖父母が高齢になっても運転を続けていたら、免許を返納してもらいたいと考える読者は多いのではないだろうか。しかし、子が説得しても、すんなり合意し、免許を返納する親はそう多くない。こうした話をきっかけに親子関係がギクシャクしてしまうこともある。どのように親を説得したら良いのか、6つの方法を紹介する。(アステル/ライター・認定NPO法人職員 てらこ)
近年、高齢ドライバーの交通事故に関する話題が注目を集めている。お盆に帰省して久しぶりに親に会い、運転を続ける自分の親を心配して「免許を返納してほしい」と考える方もいるのではないだろうか。
しかし、親としては、免許を返納することで自分の誇りや運転の楽しみを奪われるのはいい気がしないものだ。どのようにすれば、円満に免許の返納を進められるのだろう? 本記事では、免許返納をためらう親をどのように説得したら良いのか、心理的アプローチや実際の事例を交えながら紹介する。
方法その1:
孫や友人の助けを借りる
両親が免許の返納に抵抗感を示している場合、孫や、親と仲の良い友人の力を借りることで、説得がスムーズに進む可能性が高い。
孫がすでに会話できる年齢であれば、高齢者の事故のニュースなどを一緒に見て、孫に「おじいちゃん(おばあちゃん)の運転が危ないかもしれない」と心配してもらい、祖父母の運転にマイナスな印象を抱いてもらうのがいいだろう。
そして、祖父母と会った際に「おじいちゃん(おばあちゃん)に長生きしてほしい」「事故にあってほしくない」「車を運転するのをやめてほしい」と孫から伝えてもらう。また、「おじいちゃんとおばあちゃんの運転をどう思う?」と質問し、返答によって運転に対する危機感を示してもらうのも有効だ。一般的に「孫に弱い」傾向がある祖父母にとって、孫からの意見は非常に大きな判断材料となる。
また、孫がいない場合には、親と交流のある知人に協力を依頼するのも一つの手だ。親しい友人から「あなたの運転は本当に安全か」「もし事故を起こしてしまったら悲しい」「私も免許を返納した」などの言葉をかけてもらうことで、免許返納の意思が強まる。友人からのアプローチの有効性は、「人は自分が好意を感じている知人からの意見を聞き入れやすい」という心理学の知識からも示されている。
親を説得する際の協力を仰ぎやすくするには、日頃から親の交流関係を把握し、親経由でもいいので知人との関係性を構築するのが肝要だ。