中国の日本人学校に放尿まで…「反日」再燃も、実は“ブーメラン”を恐れる共産党の本音Photo:PIXTA

処理水放出に
中国が猛反発

 中国で「反日」が再燃しているように見受けられる。

 8月24日、日本政府が予定通り、福島第一原発ALPS処理水の海洋放出を始めた。それに対し、中国政府が猛反発していることが「反日」の背景にある。

 同日、中国政府は日本産水産物の輸入を全面的に停止、翌25日には、中国国内で日本産水産物の購入・加工・提供を禁止した。また、中央政府の外交スタンスに同調するように、香港政府は24日、日本の10都県産の水産物輸入を禁止、マカオ政府は10都県産食品(水産物以外に、農作物・食肉・鶏卵など)の輸入を禁止した。

 放出前の8月22日、垂秀夫駐中国大使を呼び出した中国外交部の孫衛東副部長は、「日本政府は国際社会からの強烈な疑念と反対を無視し、福島の核汚染水を海に排出することをかたくなに発表した。この行動は、中国を含めた周辺国家、国際社会に核汚染のリスクを転嫁するものである」と抗議し、24日をまたいで、外交部の報道官を中心に対日批判が続いている。

 IAEA(国際原子力機関)が7月4日、処理水放出について発表した報告書で「IAEAの安全基準に合致している」と主張したことを受けて今回の措置に踏み切った日本政府は、中国側の主張や反発を「科学的根拠に基づかない」という立場を貫いている。日中両国政府の主張は平行線をたどっており、処理水問題は完全に外交問題化したといえるし、短期的に関係改善、および交渉による落としどころを模索できる状況ではないだろう。

 9月9~10日に、インドのニューデリーで開催されるG20首脳会議において、岸田文雄首相と欠席予定の習近平国家主席の代理として参加が見込まれる李強首相との間で、問題解決に向けた“首脳外交”が展開されるかどうかに注目したい。