健全な組織づくりに必要なポイントは
社内コミュニケーション
ここまでは「法令順守意識が低く、周囲に勧められない企業」を分析したが、こうした企業で働く現役社員、また元社員は会社に対して何を求めていたのか。「経営者への提言」というクチコミ項目に投稿されたリアルな声(原文ママ)を紹介する。
「社員の声を聞き、多角的な視野を持って会社の方針を決めてほしい」(営業、在籍5~10年、現職、女性)
「全てトップラインの会長に権限がある状況なため、そこを改善するとより良い会社になるなと思う。もう少し社員の気持ちに寄り添って動いたり、大切にする姿勢を見せると良いのではないかと思う」(営業、在籍3年未満、退社済み、女性)
「スタッフのことをコマとしてしか見ていません。普段の働きなどは評価にはならないので数字を出さなければ転勤を命じられ辞めさせられます」(営業、在籍3年未満、現職、男性)
「もっと現場の声を聞くべきでは?と感じました。本部の方針と店舗の求めているものに、ミスマッチを感じました」(技術職、在籍3年未満、退社済み、男性)
経営者に対し、「社員の声に耳を傾けてほしい」「目先の利益ばかりに目を向けず社員を大事に思ってほしい」といった声が多く見られた。特に長年にわたってワンマン・同族の経営者が経営している企業では、必然的にトップダウンの指示や命令に集中してしまう経営陣・管理職が多くなり、結果として現場の社員や適正な組織体制に目を向けなくなる、という悪循環があると推測される。
今回のデータやクチコミを通じ、健全な組織づくりにおいて重要なのは「コミュニケーション」といえそうだ。
完全成果主義もワンマン経営も、それ自体は企業文化の一つとして決して批判されるものではない。日頃から経営層は社員の声に耳を傾けているか、恐怖政治によって社員を縛り付けていないかどうか、経営者の発したメッセージは社員にとって心理的安全性の高い職場であってこそ、初めて社員に伝わるものとなる。