2つめの可能性は、そもそも自分の好きなことや楽しいことが分からないということ。
親を喜ばせたい一心で親の好きなものを選んできたり、親に逆らうことが許されず親の好きなものを選ぶしかなかったりしたような場合は、自分の好きなものを選んできた回数が圧倒的に少ないです。
その結果、親の好きそうなものは分かるのに、自分の好きなものやしたいことが分からなくなってしまうことがあります。
そのほか、過去に自分の好きなものを強烈に否定されたり、からかわれたりして傷ついた経験があると、「好き」という感情そのものを抑え込んでしまうこともあります。
過去の嫌な経験から、好きなものについて語ると傷つけられる、とインプットされてしまっているからです。
この場合には、「子どもの頃は好きなものがあったはずだけれど、大人になった今は好きなものが分からない」と感じることが多いです。
1つ、実際の相談事例をご紹介します。
好きなこと、したいことが分かりません。だから毎日、つまらないです。
仕事に行って、家に帰ってご飯を作って、寝るだけ。
これといった趣味もありません。何が好きなのかもよく分かりません。
何かがあったとか、急にそうなったとかいうわけではなく……たぶん、子どもの頃からずっとです。
人として何か欠けているのではないかと思うことさえあります。
Iさんの場合は、急に毎日がつまらないと感じたのではなく 「子どもの頃からずっと」 ということで、好きなことやしたいことが分からなくなった原因は過去にありました。
幼稚園に通っていた頃、Iさんには好きな色がありました。