私は過去、『週刊文春』の広告風の営業チラシをつくったことがあります。模倣した理由は、このデザインが効果的だと思っただけでなく、模倣しやすかったからです。
これまでの営業用のチラシは、営業マンが配った後、だいたいゴミ箱に直行でした。よくても、顧客の書類の山の中に埋没するパターンです。
ほとんどが、読まれることなく、終わってしまう残念な運命だったのです。
そこで私は、これまでの営業チラシを大胆にリニューアルすることにしました。
取り入れたアイデアは、『週刊文春』の中吊り広告のデザインです。「よく目にするものほど、買ってしまう」という人間の特性を踏まえ、なじみのあるデザインをモチーフにすることで、営業チラシに注目してもらおうと考えたのです。
狙いは「的中」しました。
これまで見向きもされなかったのが、面白がってチラシを受け取ってもらえるようになりました。お客様から何らかの反応が返ってくるのは1%に満たなかったのが、なんと50%以上の反応をいただくようになったのです。このチラシをネタに、別の商談が始まり売上につながったケースもありました。
このように、チラシをリニューアルした目的は達成できたのです。
ほかにも、ヒューリスティックの中でアイデアの参考になるのは、「代表的な例が全体を反映していると勘違いする傾向」についてです。
たとえば、「5人に聞いたところ、4人が移住するなら静岡県がいいと答えた」という宣伝文があったとします。すると、サンプル数はたったの5人と少ないにもかかわらず、多くの人が「移住するなら静岡県」と信じてしまう傾向があるのです。