中国の通信機器大手、中興新通訊(ZTE)グループが強烈な価格競争力を引っさげて、日本の再生可能エネルギー事業に参入する。5月中旬をメドに本格始動する算段だ。

 ZTEといえば、通信事業で世界トップクラスにのし上がった中国企業だ。携帯電話の出荷台数で世界第4位(米調査会社IDC調べ、2012年10~12月期)まで順位を上げた。

 通信ネットワークを支える通信インフラの構築も手がけており、世界140ヵ国、500社以上にサービスを提供するなど、グローバル展開している。日本でも、ソフトバンクからスマートフォンやルーターを発売していることで知られる。

 そのZTEが次に狙いを定めた日本の市場は、通信と同じく規制の厳しい電力市場だ。パワーコンディショナー(パワコン)事業での参入を図る。これは太陽光などで発電した直流電力を、工場や家庭で使用できるように安定した交流電力に変換する、電力変換装置のこと。

 ZTEは、日本での太陽光発電システム全体の販売において、広いチャネルを持つ国内企業のパートナー探しも進めている。現在、住宅メーカーなどと手を組めないか検討している模様だ。

 じつは、ZTEがこれから参入しようとしている再エネ事業は13年度以降、“旨み”が減るといわれている。というのも、昨年から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度の買取価格が、近く下がると見られているからだ。特に“バブル”と揶揄された太陽光発電は、現在の42円から30円台後半まで引き下げられるというのが、業界内における大方の見方だ。

 となれば、太陽光発電で儲けようという事業者や個人が減り、再エネに対する投資も逆風を受けることが予想される。