コンサル大解剖Photo:Theerawat Kaiphanlert/gettyimages

コンサルティング大手のアクセンチュアで、同社が「ダイヤモンドクライアント」と呼ぶ超重要顧客の一群に日本の大手企業2社が新たに加入したことがダイヤモンド編集部の取材で判明した。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、誰もが知る自動車メーカーと電力会社の実名を明かすとともに、アクセンチュアが両社のビジネスをどう支援しているかに迫る。そこからは、事業環境が激変する自動車やエネルギー産業の将来を揺るがす「3.0」というキーワードが共通項として浮かび上がってきた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

成長する日本市場で新たに
“超重要顧客”2社が判明

「ダイヤモンドクライアントは現在300社に達し、昨年より33社増加した。これはわれわれの能力の深さや広さ、顧客からの十分な信頼を改めて示すものだ」。米国上場のアクセンチュアが9月28日に発表した2023年8月期決算説明会の冒頭、ジュリー・スウィートCEO(最高経営責任者)はそのように話した。

 続けて、同期の売上高が前期比8%増(現地通貨ベース)の640億ドル(約9.6兆円)に上り、市場シェアの拡大を続けた点などに言及した。スウィート氏が話し始めてから1分もたたないうちに、売上高よりも先に「ダイヤモンドクライアント」という言葉を持ち出したことにも、この顧客の一群がいかに重要な存在であるかが、端的に表れていると言えるだろう。

 スウィート氏はさらに、「アクセンチュアは強力なデジタルコアの構築を支援し、その活用を通じた改革が成長の原動力となっている」などと指摘。本決算の結果について総括的にコメントした5分強の話の最後には、「アクセンチュア独自のポジショニングは、大規模な変革のために当社を選んでくださるダイヤモンドクライアントの数にも表れている」と締めくくった。

 本連載の前回記事『【独自】米アクセンチュアの「超重要顧客」新顔10社の実名公開!米大手SNS、米新興バイオ…』でも述べたように、ダイヤモンドクライアントは業界内で、年間報酬額が1億ドル以上の顧客を指すとみられている。日本では以前から、トヨタ自動車やソニー、ファーストリテイリングといったグローバル企業が該当するとされてきた。

 すなわち、ダイヤモンドクライアントはアクセンチュアの業績を牽引(けんいん)する“超重要顧客”。しかも、以前の決算発表時(本連載『【独自】アクセンチュアがグローバル本社要職に日本法人幹部を起用へ、異例人事が象徴する日本の地位向上』参照)と同様、今回の本決算においても、日本は同社の成長の牽引役として名指しされるほど好調さを保つ地域だ。

 そんな重要性の高い市場において、大手日本企業2社が今年夏ごろ、新たにダイヤモンドクライアント入りしたことがダイヤモンド編集部の取材で判明した。

 次ページでは、誰もが知る大手自動車メーカーと大手電力会社の実名を明かすとともに、アクセンチュアにおける各案件のキーマンやいかなる支援を手掛けているのかに肉薄。そこからは、事業環境が激変する自動車やエネルギー産業の将来を揺るがす、「3.0」というキーワードが共通項として浮かび上がってきた。