株価が「2日で1.5倍」に爆騰したメタバース銘柄の末路…《3年で売上高20億円計画》の実態Photo:Hiroshi Watanabe/gettyimages ※画像はイメージです。シャノンのメタバースサービスの画面とは異なります

2020年にメタバース参入を発表し、翌年にバーチャルイベント事業を開始――。先進事業を積極的に展開し、有望銘柄として期待を集めたITベンチャーのシャノン。だが、ふたを開けてみると、メタバース事業の売上高は参入当初の計画を大幅に下回り、減損損失を計上。同事業に足を引っ張られ、全社の業績も営業赤字・最終赤字に沈んでいる。新しい市場に比較的早く参入したにもかかわらず、なぜ同社は「先行者利益」を得られなかったのか。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)

時流に乗って
注目のメタバースに参入したが…

 メタバースを活用したバーチャルイベント事業。何やら“今っぽい”横文字が並んでおり、先進的な印象を受ける。
 
 だが、この先進事業に参入した結果、減損損失を計上するなど失敗してしまったのが、2000年に設立したITベンチャーのシャノンだ。

 シャノンは2017年に東証マザーズに上場。現在は東証グロースに上場している。昨今は「メタバース銘柄」として注目を集めており、メディアに取り上げられる機会もあった。

 だが、この9月に発表された23年10月期第3四半期累計(22年11月~23年7月)の決算では、売上高こそ前年同期比18.8%増の約20億円に伸長したが、営業損益は約3億円の赤字(前年同期も約3億円の赤字)。純損益も約5億円の赤字(前年同期は約3億円の赤字)と、利益面での苦戦が目立った。
 

株価が「2日で1.5倍」に爆騰したメタバース銘柄の末路…《3年で売上高20億円計画》の実態シャノンの決算短信(2023年10月期 第3四半期累計)(出典:シャノン
拡大画像表示

 それどころか、メタバース事業の進捗(しんちょく)が遅れているとして、固定資産(ソフトウエア資産及びソフトウエア仮勘定)の減損損失を約1億4000万円計上した。シャノンの売り上げ規模に照らすと、損失の規模は決して小さくない。加えて、23年10月期の通期業績予想も下方修正している。新規事業参入のタイミングを大きく見誤った印象だ。

 

株価が「2日で1.5倍」に爆騰したメタバース銘柄の末路…《3年で売上高20億円計画》の実態シャノンによる業績下方修正の発表(出典:シャノン
拡大画像表示

 シャノンの主要サービスは、Webマーケティングを支援するツール「シャノンマーケティングプラットフォーム」だ。名刺情報の管理、メールの配信、成約可能性のスコアリング機能などを備えた、いわゆるマーケティングオートメーション(MA)ツールである。

 この他にも、リアルとオンラインで利用できる、展示会やセミナーなどの「イベント管理システム」を提供しており、いわゆる「SaaS企業」に該当する。顧客の内訳はWebマーケティング活用が進む保険系やIT系の企業が上位を占めている。

 上場後の通期業績の推移に目を向けると、17年10月期の売上高は約16億円。これに対し、22年10月期の売上高は約25億円。5年間で約9億円の増収と、安定的に成長を遂げてきた堅実な企業であるが、なぜ前述の失敗を犯してしまったのか。