国内のプロテイン市場は2022年時点で約1200億円規模とされており、10年前の2倍以上に膨らんだ。長らく国内シェアで首位に立つのは1980年に発売された明治の「ザバス」だ。しかし、伊藤忠商事が国内の独占ライセンス権を取得した海外プロテインが小売店販売にまで躍進したことで、「ザバス一強時代」は終焉を迎えた。両社の次の一手と、市場争奪戦の行方に迫った。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
手頃感で躍進した伊藤忠「マイプロ」に
明治「ザバス」は付加価値で対抗できるのか
「年間売り上げは今後も2~3桁の前年比増加率で伸びていく」
10年間で倍増した国内のプロテイン市場の成長をけん引してきた明治スポーツマーケティング部の平松貴志氏は、いまもプロテイン市場に吹く追い風を感じている。
明治は粉末・顆粒プロテイン市場で国内でのシェア32%を誇る。この他、飲料タイプでは8割、昨年参入したバータイプにおいても1割弱のシェアを獲得するなど、国内のプロテイン市場で首位に君臨する(いずれの数字も昨年度時点の同社調査による)。
実際、平松氏の見立ての通り、市場は活気づいている。商機を見いだしたメーカー各社などが、プロテインの商品を次々と発売しているのだ。ただし、その内実は玉石混交だ。筋肉を合成するための栄養の質の高さでブランドを築いてきた明治にとっては、脅威といえる競合はないに等しかった。
そんな中で、思わぬ「黒船」がやって来た。2021年、「マイプロ」の愛称で親しまれるマイプロテインが日本市場に本格参入したのだ。
次ページでは、マイプロ躍進の舞台裏や、シェア獲得のための伊藤忠と明治の戦略を明らかにするとともに、両社の市場争奪戦の行方に迫る。