スーパーやコンビニなどに届けられれば、店員によって開けられ、そのあとは「ごみ」になるだけだ。にもかかわらず、コンビニに配送する段ボールでは「糊がちょっとでも剥がれてたら返品させられる」と訴えるドライバーもいた。

「中身は無傷なのに、傷ついたら段ボールだけ発注して詰め替え。無駄なことばかりしています。どこがエコなのか。詰め替え用の段ボールも納品や積み込みで近くに行った時に自分で取りに行き、謝って新しいのを受け取って詰め替え、再度お店に運びます」

 そんな荷物のメーカーに限って「SDGs」とか言うから閉口しかしない。

 ドライバーから聞いた「ほんの少しの傷で段ボールを運送会社負担で替えさせた会社」が、その後、某省庁主催のSDGs関連表彰制度で表彰されていたこともあった。ちなみに、企業などが「環境に配慮している」とアピールしておきながら、大した活動をしていないことを社会学的には「グリーンウォッシュ」と言ったりする。

ドライバーが荷物を
「買取」するケースも

 こんなことが少なくない現場で起きていること、許されていることが信じられないのだが、実はこの理不尽にはさらに続きがある。

 なかには段ボールが傷つくと「返品」ではなく、ドライバーがその荷物を「買取」させられることもあるのだ。

 さらにあり得ないことに、ひとつの段ボールが傷ついただけで、パレットに積まれた荷物まるごと「お買い上げ」という場合もある。

ダンボールの角潰れで買取となった例本書より。ダンボールの角潰れで買取となった例。

 驚くな、理不尽はまだ続く。

 その「買取」、カネは払わせておいて商品そのものはドライバーに渡さない荷主までいるのだ。もうこうなりゃ、新手の詐欺だろ。

「ある飲料メーカーは破損で弁済しても品物は荷主の所有物になります。弁済は会社の荷物保険。個人的には免責の分を月1万円ずつ3回払いしました」(注:弁済…荷物の積み下ろしの際、荷物が無傷であっても、段ボールにわずかな擦れや汚れ、角潰れがあるだけで返品・買取させられることがある。)

「弁償だけさせて品物は渡さないとか意味分からん。中身大丈夫でも箱に傷つけただけで買取。輸入品の唐揚げの箱が破れてたのに気付かず、2万円の弁償で商品はメーカー預かりでした」