全国141信用組合【債券投資の含み益】ランキング!6位福岡県医師、3位東京消防、1位は?利息・配当やキャピタルゲイン目的で投資する有価証券を抽出し、市場における時価を貸借対照表に計上する「その他有価証券」に着目した(写真はイメージです) Photo:PIXTA

国債や社債への
投資状況は?

 2023年3月末現在の数値からうかがえる信用組合の動向について、第6回は、有価証券への投資実態をさらに掘り下げたい。全国145の信用組合のうち、横浜華銀・名古屋青果物・滋賀県民・呉市職員信用組合を除いた141信用組合は、インターネットのホームページ上にディスクロージャー誌を開示している。この掲載情報のうち、利息・配当やキャピタルゲイン目的で投資する有価証券を抽出し、市場における時価を貸借対照表に計上する「その他有価証券」に着目した。

 その他有価証券は、「株式」「債券」「その他」の内訳に沿って含み損と含み益が記載されているため、最初に「債券」に注目することとしたい。141信用組合のその他有価証券の内訳のうち、「債券」損益を収支順に並べ替えた上で、それぞれ上位および下位10信用組合を機械的に抽出した[図表1]。

 この「債券」には、国債・地方債・政府保証債や社債などが抽出・計上される。日本円で発行されるため為替リスクがなく、流通量が多いため流動性もあるこれらの債券は、金融機関の有価証券投資の中心に据えられる姿が平均像であり、信用組合もその例外ではない。参照した141信用組合のうち、その他有価証券の「債券」欄の収支を計上していない信用組合は12先にとどまるため、9割以上の129信用組合がこれらの債券に投資を行っている。

 そうした中での投資結果は、全体として芳しいとは言えない。上段と下段のそれぞれ10信用組合を対比すると、下位の含み損の絶対値が圧倒的に大きく、債券への投資後に金利上昇などの影響を受けて含み損を膨らませてきた実情が見込まれる。投資を行った129信用組合のうち、含み益ありの信用組合が13先、ゼロが1先となり、残り115先が含み損ありとなった。単純計算では、投資を行った信用組合の約9割に含み損がもたらされた形だ。