「外国債券」は
いい投資対象なのだろうか?

 さて、機関投資家も大量に保有する外国債券だが、これはいい投資対象なのだろうか。

 外国債券は複数のリスクを持っている。主なものは、まず「為替リスク」、次に「金利変動のリスク」、さらに一流国の国債でない社債などの場合は「信用リスク」だ。さらに細かく数えるなら、「流動性のリスク」や「決済のリスク」などもある。

 為替リスクは、先ほど説明したような「ゼロサムゲーム」のリスクなので、できれば取りたくないが、「為替と金利の損得は長い目で見るとならされる」と期待しつつ、その他のリスクに伴うリターンが魅力的なら負担してもいいという類のリスクだろう。

 次は、金利のリスクだ。例えば、短期国債でなく10年国債を買うとした場合、保有期間の途中に市場の長期国債利回りが上昇すると価格が下がって損失が発生する。問題は、このリスクをリスクプレミアムが伴うような投資のリスクだと考えていいのかどうかだ。

 短期、例えば1年を単位に投資を考えている人にはそれでいいのかもしれないが、例えば10年、あるいはそれ以上の期間に及ぶ負債を一方で抱えている投資家にとっては、短期債よりも10年国債の方が負債に対する相対的なリスクが小さい、すなわち、実質的にリスクフリー資産に近いということが起こり得る。そう考えると、年金基金など長期の負債を伴う資金の運用者にとっては、10年国債の金利の方が実質的に「リスクフリー金利」に近いということが十分あり得る。