500万人が働く60兆円規模の産業といわれながらも、アナログ中心の非効率な労働環境の改善が依然として進まない建設業界。長時間労働や人手不足といった深刻な課題解決にDX化推進を提言する業界団体「建設DX研究所」の代表・岡本杏莉氏に、その取り組みを聞いた。
6社が集まり
建設DX研究所設立
建設DX研究所代表、アンドパッド上級執行役員経営戦略本部長。日本/NY州法弁護士。西村あさひ法律事務所で国内外のM&A案件を担当後、Stanford Law Schoolに留学。メルカリで資金調達やIPOを担当。2021年にアンドパッドに入社し現職。法務、建設DX研究所の立ち上げをはじめとする公共政策を担当している。 Photo by Hiromi Tamura
建設DX研究所は任意団体として2023年1月に設立。参加企業はアンドパッド、構造計画研究所、Polyuse(ポリウス)、Liberaware(リベラウェア)、セーフィー、ローカスブルーの6社である。建築技術コンサルティングの構造計画研究所以外は、設立から間もない建設テックのスタートアップ企業だ。
各社が専門とする領域は、3Dプリンターだったり、ドローンだったり、管理アプリだったりとバラバラだが、DX導入で建設業界に山積している課題の解決を図っていこうという共通の認識を持っている。
「巨大産業でありながら、その95%が中小企業という建設業界では、現場で求められる支援やDX、課題は多様で、その幅も広いため、多彩な技術を持った企業が集まる必要があります。
この6社はそれぞれ違った建設DXに関する技術を持っています。まずはコアとなる6社で立ち上げ、今後活動の幅をさらに広げていきたいと考えています」
ゼネコンや大手企業は資本力やスケールメリットもあり、DXへの理解度や導入も一定程度は進んでいる。しかし大勢を占める中小企業は、DXの導入が必要だとはわかっていても、IT人材の確保や法規制への対処など、大手以上にDX導入のハードルは高い。
このように、中小が変わっていかなければ全体の改革は進まないと岡本氏はいう。まずはそこに寄り添う形で関わっていこうという意図だ。