決算書を読めない経営者は多い!?
経理に任せっぱなしではダメ!
村井 極端に言えば、経営者になろうと思えば誰でもなれます。もちろん、会計の知識もあり本当に経営のできる社長もいますが、そうでない人も多いのではないでしょうか。だから、実際の経営にフィードバックできない。
安本 私もそう思いますね。経営者なら決算書が読めると思われがちで、損益計算書は何とか分かるけれど貸借対照表(B/S)を読めない人は多いです。
村井 ええ、売上と利益をチェックしても、損益計算書(P/L)とB/Sがつながっていることを理解していない人が多い。期首、期末の棚卸資産がB/Sに載っているなんて思っていないのです。そんな感じではいくら「強い会社」に変えようとしてもダメでしょう。
JAL日本航空の再建に尽力された稲盛氏は、会計の基本ともいえるモノとお金の動きに非常にこだわっています。こうした当たり前のことが、会計情報の基礎として生きた経営を支えているのだということが分からず、ないがしろにされてしまっている。
そもそも経営するとは、英語で言えば「manage」。つまり、変化の激しいマーケットや顧客ニーズを捉えて的確に判断し、上手く切り盛りしていくことです。
そのためには、日常の実務から「生きた数字」をデータとしてしっかり収集していくことが重要になってくる。例えば実際の在庫と帳簿の数字が合っているのかとか、当たり前のことを真剣に積み重ねていくことが、決算書を根本から理解することにもつながると思うんです。
安本 誰でも経営者になれるのはいいことですが、志や熱意を持って本気で経営するわけですから、基本的な知識は身につけておくべきですよね。会社を起こす際には会計の基礎講座を1日受ければ設立登記できるなど
、ちょっとしたルールを設けるといいのではないでしょうか。
村井 それはいいアイデアです。数字が大事なことは分かっていても、経営者になってからではなおさら勉強する一歩が踏み出せないこともあるのかもしれませんね。
でも日本人にとっての日本語と同じように、会計は経営における共通言語。経営者なら、コミュニケーションツールとしての会計数字を知っておかなくてはいけません。