先行きが見通せない時代に、確実に利益をあげている会社は他の会社と何が違うのか。『ユニクロ監査役が書いた 強い会社をつくる会計の教科書』の著者である安本隆晴氏と、『強い会社の「儲けの公式」~AKB48、ユニクロから青山フラワーマーケットまで、あのビジネスはなぜ成功しているのか』の著者である村井直志氏のおふたりに、公認会計士ならではの目線から数字の捉え方や理想的な経営について語っていただきました。
第1回目は、ユニクロの監査役でもある安本隆晴氏に、「強い会社の秘密」を数字の面から語っていただきます。
数字は追いかけるのではなく、
それを元に行動するために使う
村井 長引く不況の中で、財務会計に対する意識はさらに高まっているように思います。しかし、会計の仕組みや数字の意味を本質から理解していないために、実際の経営にフィードバックできず、苦しい状況から抜け出せない会社も多いのではないでしょうか。
私がこの本で読み解いた「儲けの公式」は、それぞれの企業が数字の本質を理解してこそ実践できるものです。
安本先生はユニクロをはじめ成長企業の監査役として活躍されていますが、会社が成長するにはどんな点が重要だと考えていらっしゃいますか。
安本 私が公認会計士になって33年経ちましたが、株式上場準備コンサルタント、あるいは監査役として数多くの企業を見てきました。ファーストリテイリングとは1990年からの付き合いですから、もう23年になりますね。
会社の成長には、数字の使い方が非常に影響します。ただ売上や利益を上げようと、表面的な数字を追いかけても強い体質にはなれません。目標管理で肝心なのは、その数字が示す現状を読み取って素早く行動を起こすことです。
村井 具体的には、どんなことでしょう?
安本 決算を年間だけでなく月次で、可能なら週次、日次で細かく行うことです。細かいほど、数字の示す意味が見えやすくなるからです。その中でも一番大事なのは、前年同月との対比です。そこで差異が生じたら、必ず何か因果関係があるはずです。
それをどんどん突き詰めて、その都度軌道修正していく。手を打てば数字が動き、その打ち手を変えれば数字がどう変化するのかも見えてきます。
最初からうまくいくわけではないでしょうから、いろいろと試行錯誤をしてみる。この「行動を起こす」というのが大切だと思います。数字をおいかけるだけで終わってしまっていてはダメなんです。