社長が数字をわかっていれば、
不正会計も早期に見抜ける!

安本 これまでたくさんの会社を見てきましたが、経理や財務の重要性をわかっていない経営者は多いんです。そういう会社は社内に経理・財務専門の担当者がいないので、月次決算はほとんど税理士の先生任せになってしまう。経営者に会計の知識がなければ、不正が行われていても発覚しにくくなりますよね。

村井 その通りですね。私が一昨年出した『会計ドレッシング 10episodes』(東京経済新報社刊)では粉飾・横領の見抜き方を詳しく解説しましたが、少し会計の知識があれば、もっと早く発覚したのではないかと思うようなケースは多いですよね。

 今回執筆した本でもオリンパスの不正会計のカラクリを紹介していますが、オリンパスの場合もしっかり数字に表れていました。オリンパスが買収したベンチャー企業の事業計画概要を見ると、数字の上では5年間で当期純利益がマイナス500万円から42億円に伸びるとなっていました。数字をしっかり見られる人なら、どう考えてもこの数字は「おかしい」と疑問を抱くのが自然です。
ところが、知識がないとそういう疑問も浮かばずに数字が素通りしてしまう。

安本 最低限必要なのは、いくつかアンテナを張り巡らせて、肝になる数字だけは抑えておくことですね。例えば、現金預金の日々の残高を重視している人は、1億円を割ったら危険信号だと察知して行動するとか。

 その一方で、現場に目を向けることも忘れない。社員がニコニコ元気に働いているかなど、数字以外の指標も大切ですから。経営者は、その両方を備えているのが理想的ですね。

村井 私も会社訪問すると、経理の人たちが元気よく働いていないのが気になりますね。この会社は大丈夫かなって(笑)。やっぱり儲かっている会社は社員たちも明るくて元気があるように感じます。昔はそういう財務以外の強さをもった会社が多くありましたね。

                (次回の更新は3/21(木)予定です)
                        取材・文 佐藤祥子


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