「100円ならいいか」
とついいらないものまで……

 消費のハードルを簡単に下げてしまうのが、「100円均一」という数字。「100円」は人を惹きつけるマジックプライスといっていい。老若男女問わず100円ショップが嫌いな人はほとんどいないだろう。

 すべてのものが値上げする中、未だにこの金額で買えるものが並んでいる稀有な場所だからだ。「100円なら、ついでに買っておくか」「100円なら、試してみようか」「失敗しても、100円だし」……。このように、「100円ならまあいいか」と、いともたやすく財布を開かせてしまうのが、この数字だ。

 そもそも、それが100円ショップの狙いといっていい。一つ一つの品をじっくり吟味したり、売値ほどの価値がある品なのかと悩んだり、買うべきか買わざるべきか迷ったり、普段の買い物なら当然悩むだろうあれこれも、100円均一なら考えなくていい。

 だって、100円なのだから。こうしたついで買い・衝動買いこそが100円ショップのビジネスモデル。100円では利益が薄いからこそ、ついでにたくさん買ってほしいのが店側の本音だ。せっかくだから買っておこうと商品をどんどんカートに詰め込んでいる人は、見事にそれに乗せられている。

 とはいえ、最近は製造コストや物流費・人件費高騰のあおりを受け、100円以上の値札が付く品もかなり増えてきた。おまけに消費者側も100円ならいいやの大量買いを以前ほどはしなくなっているようだ。

 結局のところ、1つは100円でも10個買えば1000円越えになる。レジに向かう前にカートの中の個数をカウントし、合計でいくらになるかの数字を、しっかり吟味するようにしたい。