「1日たった200円」は
1年でいくらになる?

 同じ金額を表す場合でも、表現方法によってずいぶん印象は変わるものだ。よくあるのが、「ランニングコストは1日たった〇〇円です」という割り算パターン。

 1日いくらというなら、365日を掛け算しなければ正確にいくらかかるのかの金額をつかむことはできない。1日200円だとすれば1年では7万3000円になり、桁すら変わってしまう。細かく表示された数字は、安く見せるための王道トリックなのだ。

 毎月支払っている保険料も同じ。火災保険や地震保険、自動車保険の保険料は高いイメージがあるが、生命保険や医療保険ではそれほど気にならない人は多いのでは。それは、生命保険・医療保険は月額の支払額しか提示されないからだ。

 保険料が高いとよく言われる地震保険を例にとってみよう。東京都の木造建築で1000万円の補償なら年間4万1100円の保険料だが、12カ月で割れば3425円。これならぐっと安く感じるはず。

 逆に、毎月5000円の医療保険を払っているとすれば、年間に払う保険料は6万円になる。結局いくら払うのかは、自分で12カ月を掛け算しなくてはわからない仕掛けというわけだ。

 大きな支払いを小さい数字に見せかけるトリックはいたるところで使われている。「払うお金は大きく掛け算、使うお金は小さく割り算」と覚えておくといい。支払わなくてはいけないお金は日額や月額ではなく年額で掛け算し、食費などの生活費は月額から1日で割り算する。

 これでいくら支払い、いくら使っていいのかがわかりやすくなるだろう。誤った数字のイメージに惑わされないことが、支出を正しくコントロールする秘訣になる。