「課長止まりで終わらない会社員には、やっていることがある」
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)
「環境づくり」をやっているか?
会社組織の中で、社員たちは、お互いが刺激し合って高め合っています。
この状態を私たちは、「変化率が発生している」と表現します。
たとえば、Aさんが30%の成長を見せているときに、周りの人たちが刺激されて、10%、15%の成長を見せはじめる。
この状態が起きると、組織は必ず成長していきます。
一方で、Aさんは30%の成長をしているのに、周りがまったく変化を起こさない会社もあります。
なぜなら、競争環境が整っていないからです。
会社の中で「仕組み化」が機能していません。
変化率がある組織とない組織の違いは、その1点のみです。
「結果を出しているAさんだけが特別な環境にいる」という状態をつくらないことです。
その環境づくりは、人の上に立つ人の責任です。
優秀なプレーヤーが出世して、課長クラスになったとしましょう。
そこから部長や役員、経営層に上がっていけるかどうかは、ここが分岐点になるのです。
社内での「秘伝のタレ」をつくっていく
仕組み化が機能した組織では、
「伸び悩む人が、うまくいっている人に話を聞きにいく」
ということが当たり前に起こります。
社内で共有する仕組みですね。
私の会社でも、成功事例の共有の場をつくっています。
人の上に立つ人が、「聞かれたことは隠さずにオープンにすること」というルールを設けておくことも必要です。
それをやるのは、「チームの目標を達成しないといけない」という立場の人です。
つまり、現場のリーダーや管理職に求められる動きです。
「秘伝のタレ」という言葉があります。
ライバルがマネできないようなレシピをつくり、それを守ることで競争を勝ち抜く方法です。
そのレシピのつくり方を創業者だけが守っているとしましょう。
自分自身と数人のスタッフでしか、お店を回せません。
しかし、1人で囲い込むのではなく、信頼できる弟子たちに伝えたらどうなるでしょうか。
のれん分けをしてさらにたくさんの人たちに、その味を届けることができます。
1人1人が、この味を、この集団の中で伝えていく。
そういう組織全体への貢献があることが大事です。
「仲間に共有していく」という考えは、そういう力を持っているのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)