「ぜひぼくを使い倒してください」

佐宗 「ここは、自分たちがこだわるべき点ではないか」という議論は、非常に哲学的だと思います。社内の人を巻き込みながらそういう議論をする会社はかなり珍しいと思うのですが、こういった話は対面で行っているのですか? オンラインの議論も多いのでしょうか?

山崎 両方ありますね。マザーハウスでは、メールやSlack上での議論はあまりありません。オンラインかリアルでやっていますが、やはりリアルのほうが圧倒的にいいですね。議論に没頭できます。ガチな対話でないと、ブレークスルーは生まれないんですよね。

佐宗 わかる気がします。ところで、そういう対話は、誰とするのですか? 企画の人でしょうか? それとも店舗の方とそういう議論をする機会もあるんですか?

山崎 誰とでも対話しますよ。ぼくは社内ではコンサルとかメンター、コーチに近い存在で、みんなが相談に来るんです。もちろん戦略をつくるのがぼくの仕事ですが、みんなが数値目標に対して責任を負っている以上、そこにぼくができることがあれば全部やりたいと思っています。

みんなには「ぜひぼくを使い倒してください」と伝えているので、いろんなところから「こういうプロモーションをしたいんですが、どう思いますか?」とか「このイベントのテーマはどうでしょうか?」とか「あのイベントに登壇してもらえませんか?」とか、どんどん相談が飛んできます。

佐宗 小売業界の企業は、比較的トップダウンになりやすいと思うのですが、新規事業のピッチコンテストができるほどアイデアが出たりするのは、社員の自発性が保たれている証拠だと思いますね。それは組織として強みになると思うんです。次回は、なぜ社員のみなさんが自律的に動けるのかを教えてください。

マザーハウス流・新規事業の生み出し方

(次回に続く)