人の家は人の家、ウチはウチ
つまり、自分たちの身の丈に合った、他人のマネではない、オリジナルな生活と育児をすればいいと思うのです。
たとえば、ママは、
「あそこの家のパパは、皿洗いと洗濯が担当なんだって。あなたはゴミ出ししか手伝ってないんだから、明日から皿洗いと洗濯もお願いね」
などと言ってはいけません。
その家のパパはフレックスタイム制で、時間の融通がきくためにできるのかもしれませんし、実際、朝7時に家を出て深夜0時に帰宅するサラリーマンの夫が、毎日、皿洗いと洗濯なんてできるわけがないでしょう。
つまり、「人の家は人の家、ウチはウチ」なんです。
夫婦の性格、仕事、収入、家族構成など、どの家も違うのに、同じ生活や育児などできるはずがありません。イクメンについても同じです。
2人で話し合って、わが家だけのオリジナルな生活スタイル、オリジナルな育児を目指したらいかがでしょうか。
要は、夫婦お互いの気持ちの問題です。
“イクメン”なんて言葉がないころから、育児に参加する父親はいました。
いまの“イクメン”の賛美された部分に踊らされないようにしてください。
私のことを話しますと、私は2人の男の子を育てました。
長男の誕生後、夫に「この子をどんな大人に育てたい?」と聞きましたが、答えが返ってきませんでした。そこで、「じゃ、私の好きなように育てる」と宣言したのです。
また、私は「育児を私ばかりに任せて、あなたばかり外に出てズルイ。早く仕事から帰ってきて、子どもをお風呂にでも入れてください」などと言ったことは、一度もありませんでした。
当時はそれが当たり前だったから、というわけではありません。
子どもを育てることが、何よりも楽しいと思っていたからです。
「子どもは天から授かった素敵な贈りもの」とさえ思っていました。
確かに、ひとりの人間の人格形成に大きな影響を及ぼすという点では重い責任も感じますが、一方で “ひとりの人間を育て上げる”という無上の喜びもあるわけです。
私は夫に言いました。
「もし、子どもが20歳になったとき、『こんな子どもに育つことは望んでいなかった』などと言ったら、たちどころに離婚だ」と。
もちろん、夫とはいまも夫婦生活が続いていますから、そのようなことは言わなかったわけですが、その宣言をしたときは、「これで自分の好きなように育児ができる」と、我ながら「してやったり」と思ったものです。
また、男性と女性では、子育てに対する感情がまったく異なるということも、女性はよく認識しておくべきでしょう。
なぜ、このように感情が異なるのかわかりますでしょうか?
女性にとって自分の産んだ子どもは、まぎれもなく自分のお腹の中にいた子どもですが、男性にとって、その実感は永遠にわからないものだからです。
女性は自分のおなかを痛めて、子どもを産みます。しかし、いくら望んでも、男性にはそれがかないません。
このように、“性”という根本的なところで、男性と女性とでは、子どもや子育てに対する感情そのものが違ってくるのです。
(次回は3月22日更新予定です。)
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1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた独自の久保田式育児法《クボタメソッド》を確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書・共著書に、シリーズ23万部突破の『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』(以上、ダイヤモンド社)、『脳科学おばあちゃん久保田カヨ子先生の誕生から歩くまで 0~1才 脳を育むふれあい育児』(主婦の友社)などがある。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
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