心拍計測で無理せず
効率よく脂肪を燃やす

 その目安となるのが、1分間に心臓がどれだけ鼓動するか。つまり心拍数だ。

 スポーツは無酸素運動と有酸素運動に大別される。陸上競技100mや相撲に代表される無酸素運動は短時間に運動が完結するもので、爆発的なパワーの源となる糖質しか燃焼しない。一方、軽いランニングや少し速めのウォーキング、室内のエアロビクス、水泳などが有酸素運動の代表で、アクティビティする時間は長いものばかり。逆に言えば、運動強度が高くないから長時間できるとも言える。

 有酸素運動では、まず呼吸によって肺の中に新鮮な酸素が取り込まれる。この酸素は血液と一緒に身体中に運ばれ、毛細血管のすみずみまで行き渡っていく。このときに毛細血管の周囲にある皮下脂肪を燃焼させて、脂肪をエネルギーに置換させる。脂肪はゆっくりと燃焼するので大きなパワーは出せないが、30分以上続く持久的運動をサポートしてくれる。

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 有酸素運動をやり始めてしばらくは、血液中に蓄えられたグリコーゲンを燃やして筋肉を動かすエネルギー源としている。ところがおよそ30分でそれは枯渇してしまうので、30分を経過すると体内では酸素を活発に血液中に送り込み、体内に貯えられた脂肪をエネルギーに置き換える働きをするようになる。

 つまり、30分以内の有酸素運動では脂肪は燃えない。フィットネスを目的としてスポーツする場合、30分以上続けることができる持久系スポーツをする必要がある。持久系スポーツは前述のようにサイクリングだけではないが、身体の抹消の血管まで酸素を送り込んで細胞を活性化させるためには、息がはずまない程度の運動でなければならないことがポイントだ。

 体感としては、脂肪を燃焼させるための運動の強さは息が「ハアハア」とはずまない程度がいいということになる。心臓がバクバクするようなハイスピードのランニングなどは、心拍数が高すぎて大きな血管ばかりに血液が循環するので、毛細血管に血がめぐらないのでうまく脂肪からエネルギーを引き出せない。