運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。

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「体内時計」をリセットする

 私たちの体は朝、太陽の光を浴びると「体内時計」がリセットされるようにできています。

 そこで私は、体内時計を整えるために「朝歩く」ことをおすすめしたいと思います。

 陽の光はビタミンDの合成を促し骨粗鬆症のリスクも減らすので、その点からも「朝歩く」ことはおすすめです。

日焼けをしたくない!?

 でも紫外線によるシミなどが気になる方や日焼けをしたくない方もおられると思います。

 そういう方は長袖の服を着て手のひらで日光浴をする(手のひらを太陽に向けてウォーキングをする)だけでも結構です。

 手のひらは他の部分に比べるとメラニン色素が少なく日焼けのリスクが少ない上に、手のひらでもビタミンDはきちんと合成されるからです。

1日何分日光を浴びればいいのか?

 国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは、顔と手の日光浴をすることで、1日に必要なビタミンDを得るために必要な時間を調査しました(※1 ※2)。

 その結果、紫外線の弱い12月の正午では、那覇は8分、関東のつくば市は22分、札幌は76分かかることがわかりました。

 一方、紫外線の強い7月の正午では、那覇で3分、つくば市で4分、札幌は5分と、より短時間で必要量をクリアすることがわかりました。

 この結果からも、やはり太陽のある時間帯のウォーキングを少しでも取り入れることをおすすめしたいと思います。

早朝は避ける

 ただし朝起きた直後の「早朝ウォーキング」はあまりおすすめできません。

 朝はリラックスモードから活動モードに切り替わるタイミングで、自律神経のバランスは不安定。

 そんなときに急激に動くと血圧が急上昇したり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるおそれがあるからです。

 朝ウォーキングをするときは、ゆったりと目覚め、朝食をとってから歩くようにしてください。

 ※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。

【参考文献】

※1 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要|2013年度|国立環境研究所 (nies.go.jp).

※2 Miyauchi M, et al. The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2013;59(4):257-63.doi: 10.3177/jnsv.59.257.