米マイクロソフトは先週、対話型AI(人工知能)「チャットGPT」を開発した米オープンAIを巡る騒動で、非力な「カード」をうまく使いこなした。だが、この巨大テック企業は今、複雑な課題を抱えている。注目を集めるオープンAIとの関係を強固なものにすると同時に、AIという重要な分野で独自の道を切り開けることを示す必要があるのだ。
市場関係者はマイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)の対応に喝采を送った。この騒動は、オープンAIの取締役会が11月17日深夜にサム・アルトマンCEOを突然解任したことから始まり、その4日後にアルトマン氏がCEO職への復帰に同意したことで終結した。この間、マイクロソフトはアルトマン氏を直接雇用する計画を発表し、オープンAIの他の従業員も雇用する意向を示していた。
オープンAI従業員はオープンAIの取締役会が同氏の復帰を決める上で大きな役割を果たしたとみられる。オープンAIの従業員770人のほぼ全員が、アルトマン氏が復帰しなければ退社すると警告した。マイクロソフトの株価は17日終値から上昇しており、今年に入り同社の時価総額を1兆ドル(約149兆円)余り押し上げた株高に拍車がかかった。