都市部から地方へ~急成長する中国のコーヒー市場

 こうした自信を後押ししているのが、急成長する中国のコーヒー市場の規模だ。

 中国最大のオンラインコマースサイトを傘下に置く「阿里巴巴 Alibaba」(アリババ)は2022年度(最新)のコーヒー市場リポートで、2021年における中国コーヒー業界の市場規模は前年比27.2%増の3817億元(約7兆9000億円)に達し、2025年度には市場規模が1兆元(約21兆円)を突破するだろうと予想した。

 また、アリババ傘下のコマースサイトのデータから2021年にオンラインでコーヒー製品を購入した人の数は、2019年の1.5倍に増えたことも明らかにした。

 その一方で同リポートによると、中国の年間コーヒー消費量は総人口の平均にすると1人当たりまだ9杯という状況。だが、大都市や、北京や上海などの超大型都市だけを見れば、その消費量は1人当たり年間300杯を超える。昨年の上海ロックダウンでも、住民から「コーヒーが手に入らない」という悲鳴が上がり、その他地区から「上海人はコーヒーがないと生きていけないとでもいうのか」という冷笑も起こった(そして、これに対して「そうだ」という返事もネットに上がっていた)。

 このように、まだ大都会が中心の習慣である中国のコーヒー文化。それが今、「都市文化」の影響の一部としてじわりじわりと地方都市へと広がりを見せている。

 ただ、コーヒー文化の浸透初期であるため、最も著しく売り上げを伸ばしているのはインスタントコーヒー。アリババの報告でも、2016年から2021年の間に50%超となった。それと同時に、手軽に飲める缶やペットボトル入りのコーヒー製品の売り上げも約30%増となっている。

 それでも、コーヒー市場が確実に成長していることを示すのが、グラインドコーヒー(スターバックスなどに代表されるカフェチェーンで提供されるドリンクを含む)、コーヒー豆関連の消費の伸びで、こちらも30%近く増大している。実際にコーヒーマシンの販売も伸びており、2019年から2021年の間の年平均売り上げ成長率は29%に達した。

 もちろん、こうしたコーヒーブームともいえる追い風に乗っているのは、スターバックスだけではない。ブームに後押しされるように次々と国産カフェチェーンブランドが生まれ、「スターバックスに追い付け、追い越せ」をスローガンに急成長を見せているのだ。