「白酒」コラボの“アルコールラテ”

 そればかりではない。コロナによる封鎖が終わった途端、国内からManner、庫迪珈琲(COTTI COFFEE、今年9月に東京にも出店)、NOWWA Coffeeなどの新興コーヒーチェーンが勢力を拡大し、大都市だけではなく、地方都市も含めて1000店舗、2000店舗を展開するようになった。加えてこれらの中国ブランドの間では、1杯9.9元(約205円)の低価格戦争まで勃発した。

 これらのブランドの「追い付け、追い越せ」の目標となっているスターバックスとしてはさすがに9.9元戦争には参入できないものの、新型ミニカップによる「濃」シリーズを新発売。コーヒーの味に慣れた都市部ファンの間で、今度はさらに深いコーヒーの味わいを浸透させていこうというキャンペーンを始めた。

 一方、今年9月にラッキンコーヒーが、老舗白酒(バイジウ)ブランド「貴州茅台酒」とコラボして発売した「醤香拿鉄」(アルコールラテ)が、SNS戦略も奏功して大ヒット。ラテのクリーム部分に伝統酒「茅台酒」を混ぜ込むという独特の手法で、中国を代表する高級酒ながら今や若者世代の多くが口にしたことがない茅台酒の販促にも結びつけた人気商品となった。

 中国メディアの報道によると、現在、中国国内にはコーヒー関連企業が18万社あり、今年だけで約1.5万社増えているという。市場規模も年間25%から35%のスピードで急成長しており、前述の通り、2025年には1兆元(約21兆円)を超えるだろうとみられている。ここのところ、景気の悪い話ばかりの中国経済で、コーヒー関連は数少ない“勢いのある業界”なのである。