「電気料金単価や料金プラン自体は大きくは変わっていないのです。何が変わっているかと言えば、再エネ賦課金と燃料費調整額です。再エネ賦課金は、日本で再生可能エネルギーによる発電設備が導入されるにしたがって上がるので、これまでも徐々に上昇してきました。一方、最近非常に急激に上がっているのが、燃料費調整額です。これには、ウクライナ侵攻でLNGの原料が調達できないことなども影響しています。太陽光発電設備を設置すれば、自家消費の部分の課金には燃料費調整額と再エネ賦課金が含まれません。つまり電気を買うより、太陽光発電を行って自家消費した方が、安くなる状況になっているのです」(井口氏)

もうひとつ、上村氏は人口減によって、電気に関わるインフラ維持がますます難しくなると予測する。

「過疎地を含めた地域に張り巡らせた送電・配電網のインフラ設備の維持修繕コストは、今後なかなか払っていけなくなることが予測されます。その意味でも、その地域その地域で発電して使っている、電気の地産地消システムへのシフトはやらねばならないことです」(上村氏)

初期費用0円で太陽光発電システムを設置、余剰電力の売電で収益化

シェアリングエネルギーが提供するシェアでんきは、電力会社として電気を供給するサービスではなく、太陽光で発電した再生可能エネルギーを、発電設備を設置した家庭に使ってもらい、使い切れずに余った電気を別の送配電事業者に売ることで収益を得るというサービスだ。

シェアリングエネルギーは太陽光発電システムの設置にあたって、1件当たり約100万円を負担。発電した電気の自家消費は最初の1年間は無料だ。同社自体は、売電収入のほかに、各家庭で1年の無料期間が終了した後の自家消費分について課金することによって、初期投資を回収し、収益を得ていく構造となっている。

自家消費分の課金額は22円キロワット時。東京電力などを利用した場合の一般家庭の平均的な電気代が35円キロワット時ほどであることを考えると、昼間の電気はかなり割安に使えることになる。また15年経過した後は、無償で設備がユーザーに譲渡され、その後は無料で自家消費できるほか、余った電気をシェアリングエネルギーか、同社の指定事業者に売ることもできる。

シェアでんきのサービスモデル
シェアでんきのサービスモデル

夜間など、太陽光発電ができない時間帯の電力は別の電力会社から買うことになるが、この部分についてもシェアリングエネルギーは対応を進めている。2021年11月にはTeslaの蓄電池「Powerwall」の認定提供企業として、シェアでんきとTesla Powerwallをセットで提供する新サービスも開始した。