また米国のSunrun(サンラン)は北米最大の住宅向けPVプロバイダーで、初期費用無料でPVを提供するという、シェアでんきが採用したモデルの先駆者でもある。Sunrunは初期費用無料で徐々に月額費用がかかるという月額リースプランを推奨してシェアを拡大。時価総額1兆円規模に成長し、PV導入数は55万世帯を超える。

同じ米国のSwell Energy(スウェルエナジー)は、2014年設立のスタートアップだ。同社ももともとは蓄電池を家庭向けに販売していた企業で、現在は「バーチャルパワープラント(VP)」と呼ばれるビジネスを展開する。太陽光発電システムとTesla Powerwallのセットをリースで月額113〜150ドルで提供。電力需要が逼迫したときには蓄電池を遠隔制御して、家庭内に放電させる。これによりユーザーは電力料金を減らすことができる。

シェアリングエネルギーでは、こうした海外の先行事例を踏まえ、日本の市場でも住宅リソースを活用した電力プロバイダー事業と、そこから先のVP事業やエネルギーマネジメントサービスの展開を見据えて、今年度からは実証実験にも参画していく予定だという。

住まい領域のPPA(電力購入契約)サービスから脱炭素化の加速目指す

シェアリングエネルギーは、2020年10月にはENEOSから、2021年2月には第一生命保険、インキュベイトファンドからの資金調達を実施している。

4月8日に発表した資金調達はシリーズBラウンドのファーストクローズにあたり、引受先はJICベンチャー・グロース・インベストメンツ。今回はみずほ銀行からの融資との合計で、総額40億円の資金調達となった。

今回の調達について「脱炭素社会の実現に向け、住まいの領域におけるPPA(電力購入契約)のサービスを皮切りに、カーボンニュートラルへの動きを加速させる目的での調達」と語る上村氏。年間1万棟への設備設置を目指すための初期投資としても活用していく考えだ。

また、今後全国へのサービス展開を進めるにあたっての組織強化と、サービス啓蒙のためのマーケティング、システム開発などにも投資していくという。

「やはりまだまだ、太陽光発電システムが0円で設置できるということは知られていません。また、太陽光発電の文脈で見た時には家庭の屋根というのは一番小さな単位ですが、それが数千棟、数万棟、数十万棟と増えていく過程で、オペレーションの標準化、ユーザー体験の最大化も必要となります。そのためのシステム投資なども今後、より加速させていきます」(上村氏)