コンバーティブル投資手段の特徴
 

シード、シリーズA、シリーズB……資金調達ラウンドによる違い

資金調達ラウンド(投資家から見れば投資ラウンド)とは、投資家がスタートアップに対して投資を行うフェーズを表す。

スタートアップから各ラウンドで発行される株式は、ラウンドごとの種類株式になっているのが通常だ。たとえばシリーズAラウンドで発行される株式はA種優先株式、シリーズBラウンドではB種優先株式といった具合である。

以下は、各ラウンドの名称と、対応するスタートアップの事業成長フェーズの目安である。

資金調達(投資)ラウンドとスタートアップの事業フェーズ
 

また、各ラウンドの資金調達の目的や金額、投資家の特徴を以下に簡単にまとめた。

シード期

  • 資金調達の目的:プロダクトの初期開発やPMF(プロダクトマーケットフィット、製品が市場に価値をもたらす状況)が達成できるどうかを仮説検証するための資金
  • 調達額:エンジェルラウンドで数百万円〜数千万円、シードラウンドで数千万円〜数億円
  • 投資家:エンジェル投資家やシード特化型ベンチャーキャピタル(VC)

アーリー期

  • 資金調達の目的:プロダクトの売り上げ拡大のための人件費や設備投資、マーケティング費用など
  • 調達額:数億円〜十数億円
  • 投資家:VC、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)

ミドル期

  • 資金調達の目的:プロダクトの機能拡張のための開発や、さらなる売り上げ拡大のためのマーケティングへの積極投資、人材確保など
  • 調達額:十数億円〜数十億円
  • 投資家:VC

レイター期

  • 資金調達の目的:企業規模の拡大や海外展開、関連事業の開発、上場に向けたスタッフ増強など
  • 調達額:数十億円〜
  • 投資家:VC、PEファンド(プライベートエクイティファンド)

一般には、A種優先株式よりもB種、B種よりもC種……と、ラウンドが進むごとに種類株式の優先度は高くなる傾向がある。これは、後のラウンドほど投資家のリスク許容度が低く、取得価額と比較したイグジット価額の倍率が低い分、優先して配当や分配が行われる想定となっているためだ。

初めて起業するスタートアップにとっては特に、投資家との投資契約締結にはわかりにくいことも多いだろう。しかし、エクイティファイナンスにおいては、スタートアップは投資家に会社の株式の一部を渡すことになる。やり方を誤れば、経営権を渡しすぎて重要な意思決定ができなくなったり、イグジットの際に創業者利益を受けられなくなったりするおそれもあることを、肝に銘じておくべきだろう。


参考資料:
中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報(中小企業庁)
「コンバーティブル投資手段」活用ガイドライン(経済産業省)