勝見氏はエシカル就活を立ち上げた背景についてこう話す。目指している世界観は「社会課題版のLinkedIn」だ。

サービスの特徴は業界や職種ではなく、社会課題を軸に企業の情報を収集できること。たとえば「気候変動」のカテゴリを選択すると気候変動に関連する取り組みをしている企業のみが表示される。各社のページでは具体的な事業内容やミッションのほか、そこで働く現場の社員の声などがまとめられており、気になる企業があれば直接エントリーすることも可能だ。

またエシカル就活には企業側から学生にアプローチする手段も用意されている。学生側と同様、企業側も「医療」など特定のテーマに関心を持つ学生を検索し、自社に合いそうな候補者がいれば直接スカウトできる仕組みだ。

構造的には比較的シンプルな人材サービスではあるが、ユニークな点が「企業側にサステナビリティレポートの提出を義務化した上で、アレスグッドが独自の基準で評価をしていること」だろう。

近年SDGsに力を入れる企業は増えているものの、就活生の目線では「一部では広報合戦のようになっていて、サステナビリティの取り組みを一元的に見れない」(勝見氏)という課題があった。そこでエシカル就活ではサステナビリティに関する情報を開示している企業に限定してサイトに掲載している。掲載までには担当者との面談も設定する徹底ぶりだ。

月額15万円でも上場企業など40社が使う理由

エシカル就活のビジネスモデルは企業からの月額15万円のサービス利用料だ。すでにダイキン工業、丸井グループ、POLA、キリンHD、ユーグレナ、パーソルキャリアなどさまざまな業界の上場企業が同サービスを有料で活用している。

「市場の変化として、企業側がサステナビリティを実装できる人材をかなり求めるようになってきています。たとえば数十年前であればエクセルやワードが得意な人材が重宝され、今ではそれが当たり前になっています。同じように、今はサステナビリティへの関心や理解度が高い『SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)人材』へのニーズが高まっているんです」(勝見氏)

サステナビリティレポートを用意し、月額15万円の利用料を支払ってまで企業がエシカル就活を活用するのはなぜか。それは「圧倒的に優秀な人材のデータベースにアクセスできるから」だと勝見氏は説明する。

同サービスの3000名以上の登録者のうち、50%以上は東京一工や早慶上理、ICUといったいわゆる難関大学に所属する学生たち。また留学や長期インターンの経験者が約70%を占め、学生時代に社会課題の解決に向け、何らかのアプローチで挑戦しているユーザーも多い。