マンション管理をうまく運営していくには、自らが住んでいるマンションのことをよく理解している必要がある。そこで、活用したいのが女性のパワーだ。高経年マンションとどう向き合えばいいのか、識者に聞くシリーズ第3回。
合意形成しながら進む
マンションの管理
(特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会)会長
川上湛永氏
早稲田大学政経学部卒。朝日新聞東京社会部時代は建設省担当として、住宅、都市、地価などを取材。退職後は地域のマンション問題にも取り組み、管理組合理事長を3期務める。2012年より現職
最近、マンションの管理組合に団塊の世代の参加が増えているのと同時に、女性理事の比率も増えています。これは非常にいい傾向だと思います。
というのは、女性のほうが圧倒的にマンションにいる時間が長く、マンションの状態をよく見ているし、人間関係もよく把握している。ここが、マンションをうまく運営していく上で、一番大切なところなのです。
例えばどの管理組合も、たいてい10年もしたら予算が足りなくなり、管理費の値上げ、修繕積立金の値上げという事態に直面するが、これが難しい。
管理費や修繕積立金の額を変えるには、管理組合の「総会決議」が必要です。私も3年理事長を経験し、その間に値上げを行いましたが、親しい人に根回ししたり、胃が痛くなる日々が続きました。
それでも値上げ前提で進めないと、後が大変です。大規模修繕は規模や回数にもよるが、1戸当たり100万円から150万円もの費用がかかる。うまく積立金が積み上がっていないと、借金せざるを得ない。借りるとかなりの高金利になります。さらに最近は維持管理に加え、バリューアップ工事も求められる。
そんな中で、合意形成に失敗すると、一歩も前に進めなくなるわけです。